まず、現在の事業について教えていただけますか?
三重県四日市市を中心に、美容室「ANDIAMO」と髪質改善専門サロン「RAPOL」を展開しています。
「ANDIAMO」は、私が創業以来経営してきた、スタッフ教育に力を入れる従来型のサロンです。一方、「RAPOL」は2022年に立ち上げた髪質改善専門サロンで、新たな事業として展開しています。
新事業を立ち上げるきっかけは何だったのでしょうか?
従来の美容室経営に限界を感じたことがきっかけです。
ANDIAMOでは長年にわたり、採用や人材育成に多くの時間とコストを投資してきました。しかし、せっかく育ったスタッフが業務委託やフリーランスとして独立していくケースも多く、採用と育成を繰り返す状況に課題を感じていました。
そんな中でコロナ禍が発生し、休業を余儀なくされました。売上がゼロになるという経験を通じて、改めて事業のあり方を見つめ直し、「人材の確保や離職に左右されにくい、新しいビジネスモデルを自らつくろう」と決意したんです。
その時の危機感と挑戦する覚悟が、髪質改善専門サロン「RAPOL」誕生の大きな原動力になりました。今振り返ると、あの経験がなければRAPOLは生まれていなかったと思います。
人の問題で悩まないモデル」として、どんな事業を設計したのですか?
まず徹底したのは、「人に依存しない仕組みづくり」です。
例えば、カウンセリングの動画化や事前アンケート、独自の診断ツールの導入など、来店から退店までのオペレーションをすべてマニュアルと動画に落とし込みました。スタッフ個人の経験やセンスに頼らなくても、一定以上の品質を提供できる仕組みを構築したんです。
その結果、「特定のスタッフがいないと店舗が回らない」という状況を大幅に減らすことができました。
また、メニューを髪質改善カラー・髪質改善ストレート・トリートメントに絞り込んだことで、習得すべき技術や知識も明確になりました。一般的な美容室では一人前になるまで数年かかることもありますが、RAPOLでは約2カ月で戦力化できる体制を実現しています。
さらに、もう一つの大きな柱として、髪質改善に特化した商材の自社開発にも取り組みました。自社開発した商材をサロンで使用するだけでなく、他サロンへの販売も行っています。
これにより、施術品質の均一化を図れるだけでなく、商材販売による収益も生まれます。売上がスタッフの技術力や稼働人数だけに左右されにくくなり、より安定した収益基盤を構築できるようになりました。
髪質改善専門店「RAPOL」のモデルはどのような構造になっているのですか?
RAPOLは、完全個室・マンツーマン施術を基本としたサロンです。そのため、1人のスタッフが1日に担当するお客様は2〜3名程度に限定しています。
「それで十分な売上が立つのか」と驚かれることもありますが、髪質改善に特化した高付加価値サービスのため客単価が高く、少ない施術数でも十分な収益を確保できる仕組みになっています。
実際に、スタッフ1人あたり月80万〜100万円程度の売上を生み出しており、一般的な美容室とは異なる収益構造を実現しています。
また、少人数でも高い生産性を発揮できるため、スタッフへの還元率を高く設定できることも大きな特徴です。現在は売上の40%をスタッフへ還元しており、働きがいの向上や人材の定着にもつながっています。
お客様には質の高いサービスを提供しながら、スタッフも適正な評価を受けられる。そうした持続可能なサロン運営を目指して、このモデルを構築しました。
採用についても聞かせてください。
RAPOLの採用で大きな強みになっているのは、「仕組み化」によって採用対象となる人材の幅を広げられていることです。
カウンセリングの動画化や診断ツールの整備に加え、来店から退店までのオペレーションをマニュアルと動画で標準化しています。そのため、スタッフ個人の経験や感覚に依存することなく、誰でも一定水準以上のサービスを提供できる仕組みを構築しています。
この仕組みがあることで、出産や育児などで現場を離れていた「休眠美容師」の方でも、約2カ月の研修を経て活躍できるようになります。一般的なサロンでは即戦力として見られにくい人材でも、RAPOLでは十分に戦力化できるのが特徴です。
また、完全個室のマンツーマン施術を採用しているため、スタッフ同士の人間関係によるストレスが少なく、お客様対応に集中できる環境が整っています。さらに、集客は本部が一括して担うため、スタッフは施術やお客様満足の向上に専念することができます。
こうした働きやすい環境と仕組みづくりの結果、過去3年間で20名の面接に対して16名を採用しており、離職率も非常に低い水準を維持しています。
「採用がしやすい、短期間で育つ、すぐに売上を作れる」という好循環が生まれているわけですね。
そうですね。働きやすい環境が採用力を高め、仕組み化が育成コストを下げ、高単価モデルが売上と収益を生む。この三つがかみ合っているから、2022年3月の1号店オープンからわずか4年で6店舗、月商300万円・次回予約率90%超という結果につながったと思っています。
最後に、今後の展望を教えてください。
育児中の休眠美容師が「また働ける」と思える場所を、もっと増やしたいというのが一番の思いです。「人の問題」に消耗せず、スタッフも経営者もお客様も、みんなが豊かになれるサロンの形を、業界全体に広げていきたいです。


