コンサルタントコラム [#美容師採用]
いつもお読みいただきありがとうございます。
船井総合研究所 ライフイベント支援部の田崎です。
コロナが明けて世の中が落ち着いて来たかと思いましたが、企業では多くの人材が辞めてしまっています。
特に多くの若者が今の仕事を変える動機になっている3つの「過ぎる」があります。
①今の仕事は一人前になるのに時間がかかり過ぎる
②今の仕事は作業の種類がたくさん過ぎる
③今の仕事は責任が重過ぎる
中にはこれを「やりがい」と思える人もいるかもしれませんがそれは少数で、多くの若者はこの3つの「過ぎる」が無い職場で仕事をしたい傾向にあります。
そのため、現在私が関わっている美容室や着物専門店などでは、若手でも楽しくやりがいを持って働くことができる業務の改革を行っています。
その改革テーマが
①分業化
②専任化
③無責任化
です。この改革テーマをそれぞれ解説していきたいと思います。
Table of Contents
若者は長い修業やトレーニングを嫌います。
若者は「自己肯定感」が低く、他人から早く認められることを求めているからでしょう。
例えば2年間かけて1から5までの作業が出来るようになることで一人前、という業務があるとします。
この2年間の修業を待てない人が現状増えています。
1と2だけの作業を集中的にトレーニングして3か月で人前に出れるようにし、褒められたり認められたりする方が、今の若者は仕事へのモチベーションが上がります。
その場合、3から5までの作業は他のスタッフが担うようにして、一連の業務の分業化を進めるのです。
既に多くの美容室や呉服店や写真館などにこの分業化を実践していただいていますが、若手のモチベーションは高くなり、離職も少なくなっています。
特に美容や営業や写真など、難度の高い専門職の世界では1から5までが完璧に出来るスペシャリストを目指そう!ということにモチベーションが上がる若者もいます。
しかし、残念なことに最近は全てを完璧にこなせるスペシャリストにはならなくてもいいと思う若者が増えているのも事実です。
そして何より経営者側も育成のための期間を2年も3年も取る経営的な余裕はないのが本音でしょう。
雇用する側も働く側も即戦力を求める時代です。
そのため、専門職のような難易度が高く習得に時間がかかる仕事でもますます分業化が加速するだろうと思っています。
分業化が進むと、作業の習得スピードが上がり早く一人前になります。
そして早く上手になる事が仕事の楽しさややりがいを見つける事につながります。
逆に人は習得に時間がかかる事を「苦手」と言い、苦手な作業はやりたくないと思います。
多くの人はそこで挫折してしまい会社を辞めてしまうのです。
人は自分が好きで得意な作業だけが出来たらと思いますし、その作業を出来る限り長くやり続けたいものです。
「何を甘えたことを言っているんだろう?」「今の人は辛抱が足りない!」と思われる経営者も多いかと思います。
しかし「苦手も頑張って克服しよう!」は時代に合わないのです。
採用した人材の適性に合わせて、好きで得意になれる業務を早く見つけ、その業務に集中させることが「専任化」の必要性です。
例えば美容室でしたら店舗を「シャンプーブロー作業の専任化」や「カラー作業の専任化」「カット作業の専任化」を進めて、さらに専門店として新しい業態に展開して人材の職場定着を担保しているお店もあります。
「1から5まで全てが出来なければ一人前でない!」と言う専門職の固定観念を捨てて、作業一つ一つの専門家を育てて行く考え方を持たないと皆さんの会社を働き手は選んでくれないのです。
そして「専任化」には、難度の高い専門職でも企業が成長していく可能性が多く詰まっているようです。
タイトルを見てぎょっとされた方も多いかと思います。
無責任を推奨するなんて、なんと非常識な事を言うのだろうと。
しかし現実的には現代の若者はストレス耐性が落ちてきているのは現実で、責任のある仕事や役職を目指そうとは思わなくなっているのは事実なようです。
会社勤めをする上での最大の責任は「売上」でしょう。
とくにこの「売上」という責任に追われることを苦手とする若者が増えている気がします。
そのため、この「売上」をゴールとする責任の持たせ方を変えることが求められているようです。
そこで、船井総研とお付き合いのある企業様が持っている2つの考え方をご紹介します。
<「資格」を目標にすることで無責任化>
売上目標があった方がモチベーションにつながるのは事実です。
しかし逆に売上目標に追われてストレスを感じてしまい退職する傾向も増えています。
そのため、船井総研ではそのストレスを軽減する取り組みとして、美容室では「売上」を目標にするのではなく、「資格」を目標にするキャリア制度を作る取り組みを行っています。
その呉服店や美容室では社員が入社すると売上を目標とするのではなく、「スタイリスト」の資格を取得する事を目標にします。
「スタイリスト」の資格を取るためには必要な技術力を習得し、お客様を増やし、そして売上も必要となります。
「なんだ、結局売上目標じゃないの?」と思わないでください。
若者にとっては「売上」がゴールの仕事と「資格」がゴールの仕事では全く意味が違うのです。
特に自己肯定感の低い若者にとって、「売上」という目安で自分の価値を測られるより、「資格」と言う目安で自分の価値を測られる方が納得性が高いからなのです。
<ワンチーム営業で無責任化>
会社員にとって個人に売上責任が乗る事は私たち昭和世代では当たり前のことですよね。
しかし、この個人売上という責任の持たせ方も若者にとってはストレスになっているようです。
そのため、船井総研のお付き合い先の企業様には「ワンチーム営業」を進めています。
美容室では店販売上(商品販売)が多いお店と少ないお店があります。
この違いは美容室に店販(商品販売)を専任とする「レセプショニスト」がいるかどうかです。
つい美容師に商品を販売させようとしますが、実際は多くの美容師が売上責任を重く感じてしまい難しいようです。
そこで美容師にはあくまで「商品紹介」までを行ってもらい、「販売」に関しては無責任にしてあげる方が良いのです。
そして商品説明やクロージングは商品販売を専任とする「レセプショニスト」が行うように「ワンチーム」で販売を行うのです。
そして何より近年の商品販売にはお客様の「共感」を引き出すことが不可欠です。
そのため、美容師はお客様に寄り添って「共感」を引き出し、レセプショニストが売り手として「安心」を感じてもらうというチームプレイでの販売が求められているのです。
責任にストレスを感じやすい現代人を戦力にするためには①分業化と②専任化を進め、「ワンチーム営業」をすることで売上というストレスから③無責任化してあげるという事が大切です。
今回は人材不足を解消するための3つの業務改革についてお伝えいたしました。
「①分業化」「②専任化」「③無責任化」を進めていくことでストレスを感じにくい職場環境を作り、即戦力となる人材を増やすことができます。
採用をしてもすぐにやめてしまう、若手の育成の仕方が分からないといった
人材に関するお悩みがある方は是非無料経営相談を活用しご相談下さい!
美容室業界専門コンサルタントが皆様のお力になります!
田﨑 昌美
ライフイベント支援部ライフイベントグループ
イベント特化型のきもの専門店を多数手がけ、地域一番店を次々と排出する。業界で良く知られている集客手法の多くは田崎が生み出したもの。
また子供写真ブームの創成期に、呉服店に「和装特化型子供写真館」を仕掛ける。大手も真似をした和装特化型の子供写真館の一大ブームの火付け役となる。
振袖においては「ママ振り」と言う流行語を生み出す。 現在はインターネットを使ったDMに頼らない集客法を開発している。 現在、多くの美容室が振袖レンタルを始めているがこれの仕掛け人もこの人である。
もっと見る