コンサルタントコラム [#美容室経営]

皆さま、いつもコラムをお読みいただき
誠にありがとうございます。
船井総合研究所 美容室コンサルタントの有馬です。
今回のテーマは美容室の事業承継です。
現在、カリスマ美容師ブーム世代で活躍された経営者の皆様が60歳以上となり、
多くの企業で事業承継というテーマが出ています。
特に美容室業界においては、後継者問題や収益悪化など
今後の不安や悩みを抱える方が増えています。
顧問税理士からの今後の提案がない、
金融機関からの提案も
資金調達ありきになっているなど、
「誰に相談したらいいのか分からない。」
という声も耳にします。
事業承継は単なる引き継ぎではなく、
企業を持続的に成長させるための重要な経営戦略であり、チャンスでもあります。
本コラムでは、私どもが多数の事例を見てきた中で、
親から子への事業承継で成功した、
山形県の美容室企業、株式会社志乃屋様をモデルに、
美容室での事業承継で成功に導くためのポイントを
「守り」と「攻め」の2つに分けて解説いたします。
Table of Contents
事業承継は「財産面」「体制面」「事業面」の3つの視点から考える必要があり ます。
「守り」の事業承継で「財産面」は非常に重要な部分です。
もし今後、後継者に株式を渡せていない 、
または自社株や不動産など会社資産の承継方法が分からない場合、
相続時に高額な贈与税や相続税が発生する可能性があります。
相続時のコスト対策には、正しい税制や法律を知り 、
数千万円の納税を猶予・免除する対策を講じることができます。
専門家の意見を早めに聞いて対策を立てることで、
計画的な承継準備の第一歩を踏み出せます。
また、「体制面」の整備も欠かせません。
良好な人間関係を保ち、
円滑な事業承継を叶えるために 、
後継者候補の適性 や、兄弟姉妹・役員への引継ぎ 、
承継後の新体制づくりといった課題を、
計画的な承継準備を通じて解決していく必要があります。
「事業面」については、この後の株式会社志乃屋様をモデルに
事業承継で「事業面」で大きな成果を出された事例と共にお伝えします。
事業承継は、現状の課題を解決する「守り」の側面だけでなく、
承継後に業績を向上させる「攻め」のチャンスでもあります。
今回ご紹介する山形県で美容室を14店舗展開
株式会社志乃屋様は承継時の業績が5億円。
承継後、そこからたった7年で年商3億円アップで年商8億円に成長されました。
この成功の鍵は、承継のタイミングで
「低単価から高単価サロンへのシフト」という、
時流に合ったビジネスモデルへの転換を実行したことです。
父から子への親族内承継後、
先代のビジネスモデルや、やり方にとらわれず、
後継者が主体的に今後の時流に合った事業と組織に変革しました。
若い時に「チャレンジさせてもらったおかげ」と現社長の押野氏は言います。
結果として、客単価は承継前の3倍、
年間休日は87日から120日へ待遇も改革し、
現在年商は8億円へと急成長を遂げ、エリアトップサロンへと成長しました。
事業承継の専門家が知っている円滑な承継を実現するための最初の一歩
日本の事業承継において、
経営者の年齢が70歳以上の企業の割合が増え続けているという現状があります。
承継問題に迷っているこの瞬間も時間は経過しており、
従業員や取引先の未来を守るためにも、早く手を打つことが重要です。
事業承継を早く準備すべき理由の一つは、
「後継者が若い時にチャレンジできる」ことです。
多少の失敗も、若いタイミングならリカバリーが可能であり、
先代経営者が一日でも若いことも上手に承継を成功させるポイントとなります。
事業承継を「事業面」「財産面」「体制面」の
3つの視点から俯瞰して確認し、
これから取り組むべき具体的なアクションプランを知っておくことが必要です。